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ステンレス・チタンの新家工業は、伝統に培われたロールフォーミング技術を駆使して、時代のニーズに合わせた多種多様な形状の鋼管・型鋼をお届けしています。

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鋼材と加工技術の基礎知識

ステンレスの材質


ステンレスは、鉄(Fe)を主体に、クロム(Cr)・ニッケル(Ni)などを混ぜた合金です。
クロムなどにより、表面に強い不動態被膜ができることで、腐食に強い金属となります。ステンレス、(stainless steel)は、錆びない鋼ではありません。
「錆びにくい」鋼なのです。(「less」は「little」の比較級でより少ないと解釈します)鉄のような赤錆にはなりませんが、条件・環境により様々な腐食を起こします。

ステンレスの材質記号は、SUS(Steel Use Stainlessの略)で、SUSの後に3桁の番号などをつけて鋼種を区別します。
一般の人が判別できるのは大まかに2種類で、磁石につくものと、つかないもの(磁性の有無)になります。磁性のある鋼種は、SUS430のように4百番台の数字がつきます。

金属的には、フェライト系、マルテンサイト系の2種類に分かれます。主要添加元素はクロムです。また、クロム系ステンレスという場合もあります。SUS材の中では比較的安価なため、用途上問題なければコスト面で採用されます。
磁性のない鋼種は、SUS304のように3百番台の数字がつき、オーステナイト系ステンレスと呼びます。
主要添加元素はクロムとニッケルでニッケルが入ることで、耐食、耐熱性が向上します。価格は上記フェライト系ステンレスより高価です。厳しい加工や溶接で素材が変質した部分は、磁性を帯びたり腐食しやすくなります。

その他にSUS304・SUS430の2鋼種をベースとして、数種類の元素(モリプデン・硫黄・マンガン・銅・チタン・ニオブなど)を少量添加して様々な特徴をもったステンレス(鋼種)がつくられています。
また、各鋼種において、炭素(カーボン・C)の含有量を、微量に抑えたローカーボン材があります。炭素は、素材の強度(硬さ)を左右するとともに、腐食や割れなどを起こす原因となる元素です。
炭素量を低減して、耐食性を高めたものが、ローカーボン材です。記号の最後に、SUS430LのようにL(エル)をつけて表します。少し柔らかめの材料です。
ステンレスの比重(質量)は鋼種によって違い、7.70~8以下です。SUS304が比重7.93ですので、鉄の重さ(7.85)とほぼ同じです。板厚1mmで1m×1mの板の重さが、7.93kgです。



■ステンレスの腐食や割れについて


ステンレスは錆びないわけではありません。
家庭の水周りであれば、ほとんど問題ありませんが、加工の影響や使用環境によって、様々な腐食を起こすことがあります。産業用(工場設備)に使う場合は、腐食によるトラブルが大きな損失につながることもあるので注意が必要です。用途に合った鋼種を選定することが大事ですが、使用上の問題点としては下記に注意してください。

 溶接による熱影響部・溶接部分の周囲は熱による金属組織の変質によって腐食が早く現れます。特にステンレスの場合は、「2番割れ」といって、熱影響部で割れることがあります。
 厳しく加工された部分~曲げ加工やプレス、絞り加工などで、金属組織が強度に引き伸ばされたりしたところも、同様に腐食を起こしやすい部分です。また、金属が延ばされたところでは、目に見えないようなマイクロラックなどができ、そこが腐食の割れの発生点になる場合があります。
 繰り返しの振動などの外力が加わる部処は金属疲労による割れや腐食が発生しやすいです。
 汚れが付着していると湿気を持ちやすく、もらい錆や孔食(点腐食)の原因になります。又,特に汚れではありませんが、海風を常に受けるところは、塩分が付着(湿気)して錆を発生させます。特に鉄道路線傍、渋滞道路等々でも問題があります。
 ステンレスの腐食率の高いものの代表は、塩酸・硫酸海水など(塩素イオン環境)です。耐食性は、使用する薬品の種類はもとより、その濃度や温度などにより大きく変わります。



ステンレス内・外装と汚れとさび

■建物の環境によるもの

1.道路工事や建設工事の際、飛散する土砂、ほこり、鉄分などの付着による汚れ
2.汽車、電車の制動時に発生する鉄粉の付着による汚れ
3.自動車やバスの排気ガス中に含まれる亜硫酸ガスなどによる汚れ
4.工場、ごみ焼却場、下水処理場、ビルの冷暖房設備などから発生する煤煙や亜硫酸ガスによる汚れ
5.海岸地帯の潮風や塩分を含んだ雨水の影響による赤さび
6.温泉地帯で発生する各種ガスによる汚染



ステンレス建築構造材


意匠性や耐久性に優れているステンレスは、
建材分野でも屋根、壁などの内外装仕上げ材を中心に年々需要が伸びています。

ステンレス構造建築協会は、
ステンレス建築構造部分の規模が一定以下の建物への適用について建設大臣の一般認定を取得しました。

この結果、ステンレスの柱、はりなど建築構造部への用途がひらかれ、
近年脚光をあびつつある鋼とガラスによる透明建築や長寿命建物などへの魅力的な構造材が誕生し、
その飛躍的な発展が期待されます。


■ステンレス鋼の特長を活かした用途例

特長 建築物・工作物の用途
商業 産業 文化・研究 その他
意匠性
展示場
店舗
アトリウム
サービス
ステーション
美術館
水族館
温室
研究所
モニュメント
立体トラス
耐蝕性
耐久性
プラットホーム
ペントハウス
屋外階段
化学工場
臨海地帯工場
施設
原子炉関連建屋
クリーンルーム
温室
体育館上屋
プール上屋
高架水槽
サイロ
地下収納庫
耐火性
ホテル
デパート
ホテル
デパート
映画館
劇場
病院
低温特性
冷凍倉庫
極寒地施設
極低温研究施設
極低温研究施設
非磁性
医療施設建屋
MHD発電施設
建屋
宇宙観測建屋
リニアモーターカー
関連施設建屋
宇宙観測建屋
リニアモーターカー
関連施設建屋
構造特性
(耐震性)
(普通鋼と同時に使用可能)
立体トラス
筋かい
柱脚
免震装置
注)下線を付したものは、既に利用されている建築物・工作物です。  


ステンレスの特徴

オーステナイト系ステンレスSUS304は、建築構造材として次のような特長が生かせます。

 意匠性
圧延肌、研磨による表面仕上げ(鏡面、ヘアラインなど)、発色、着色など各種表面性状が自由に選択できるため、
仕上げ材を兼ねた使用ができます。

 耐久性・耐食性
耐食性がきわめて高いため、通常の環境での長寿命化やメンテナンスフリーが要求される建物に対応できます。

 耐火性・低温特性
熱による体力低下が小さく、また低温での靭性が高いため、耐火性や低温特性が要求される建物に適しています。

 非磁性
超電導関連などの非磁性が要求される構造物にも適応できます。

 構造特性
塑性変形能力が大きく、靭性に富んでいるため、ねばり強い骨組みが要求される構造物に適しています。

 加工性
粘りのある鋼材ですが、溶接性や機械加工性などは良好で、複雑な加工ができます。



建築基準法改正に伴うステンレス鋼の規格整備について


ステンレス構造材料JIS規格
建築基準法改正に伴い、新たに「建築構造用ステンレス鋼材」日本工業規格JIS G4321が2000年6月に制定されました。
従来の「熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯」JIS G4304・「冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯」JIS G4305と、「建築構造用ステンレス鋼材」JIS G4321は、化学成分は同じですが、下記表のように機械的性質が違います。
(添付資料№1「建築構造用ステンレス鋼材」JIS G4321を参照願います。)


■機械的性質に関する従来規格とJIS G4321の比較

JIS規格 材質 降伏点(N/m㎡) 引張強さ
N/m㎡
降伏比
伸  び  (%)
0.1%
オフセット
耐力
0.2%
オフセット
耐力
試 験 片
規定なし 1号・5号・10号・11号
12A号・12B号・12C号・13B号
14A号・14B号
JIS G 4304
SUS304
規定なし
205以上
520以上
規定なし
40以上
JIS G 4305
SUS304N2
規定なし
345以上
690以上
規定なし
35以上
JIS G 4321
SUS304A
235以上
規定なし
520以上
60以下
40以上
35以上
SUS304N2A
325以上
規定なし
690以下
60以下
35以上
30以上

注記
1) SUS304A=Architecture(建築)
2) オフセット耐力=0.1%または0.2%歪んだ時の耐力
3) 降伏比=降伏点/引張強さ×100(%)



ステンレス鋼の特性

鋼種
特性
オーステナイト系
SUS304・SUS316
フェライト系
SUS430
マルテンサイト系
SUS410
磁性
なし
あり
あり
焼入れ硬化性
なし
なし
あり。炭素含有量の多いものは冷却後にわれやすい
加工硬化性
加工硬化性大・ニッケル含有量の多い鋼種は、加工硬化が少ない
冷間加工で多少の硬化が認められる
軟鋼と同じ傾向の加工硬化性を示す
耐食性酸性
きわめてすぐれた特長を有している
内装用としてはサビの心配はないが、屋外の使用には問題がある
大気中でサビを生じることがある
衝撃と伸び
きわめて良好、成形性に富む
オーステナイト系に比べて劣る
オーステナイト系に比べて劣る
溶接性
溶接性が最も良好、ただ溶接の際、500~800℃の温度範囲に加熱・徐冷されると耐食性が劣化する
高熱に加熱し急冷すると熱影響部の結晶粒が粗大化してぜい化する欠点がある
溶接性はよくない。予熱・後熱処理をしないと溶接割れを生じる
熱膨張
軟鋼の約1.5倍
軟鋼ほぼ同じ
軟鋼とほぼ同じ
熱伝導
軟鋼の約3分の1
軟鋼の約2分の1
軟鋼の2分の1

注)磁性の有無は板の状態


ステンレスの物理的性質


鋼種(JIS) 密度g/c㎡ 比電気抵抗 μΩ-cm  
磁性
比熱cal/g/℃
0~100℃

平均線膨張係数

10/℃

熱伝導率10-²

cal/cm/sec℃

縦弾性係数10³ N/mm²
0~100 0~316 0~538 0~649 100 500
SUS304
7.93
72
なし
0.12
17.3
17.8
18.4
17.3
3.89
5.13
193
SUS316
7.98
74
なし
0.12
16.0
16.2
17.5
18.5
3.89
5.13
193
SUS430
7.70
60
あり
0.11
10.4
11.0
11.3
11.9
6.24
6.28
200
SUS410
7.75
57
あり
0.11
9.9
10.1
11.5
11.7
5.95
6.86
200


ステンレスの機械的性質

鋼種(JIS) 状態 機械的性質

耐力

N/mm²

引張強さN/mm² 伸び
絞り
かたさ
HB HR HV
SUS304
固溶化熱処理
206以上
520以上
40以上
60以上
187以下
90以下
200以下
SUS316
固溶化熱処理
206以上
520以上
40以上
60以上
187以下
90以下
200以下
SUS430
固溶化熱処理
177以上
481以上
40以上
60以上
187以下
90以下
200以下
SUS410
焼きなまし
206以上
451以上
22以上
183以下
68以下
200以下


磁性について

ステンレスは鉄を主成分としながら鉄のもつ弱点が改良され、特に美観、強度、耐食性、耐熱性、耐衝撃性および加工性などの点で鉄よりも優れた特性を備えています。

SUS304は、18Cr-8Niで、オーステナイト系に属するもので、一般建材用に使用されている代表的な鋼種であります。
これはCr-Niの成分バランスからみて、安定オーステナイト鋼ではなく、準安定オーステナイト鋼の部類に属するものです。
従って準安定オーステナイト鋼であるSUS304は、種々の冷間圧延などの加工を加えると、磁性を持つことがあります。
即ち成分的にはJIS規格を充分満足しているものでも、強度の冷間加工が行われた製品には磁性があります。
これは冷間加工することにより金属の結晶構造が一部変化して(準安定オーステナイト組織の一部が変態して、マルテンサイト組織になる)磁性を持つことになるわけです。



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